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刹那と永遠 - Moment and eternity -

刹那と永遠 - Moment and eternity -

・2007甲府桜座「新作落語SHOW」

先月の末、桜座で開催された
「ガチンコ新作落語SHOW」に行ってきた。
以下、その時の感想文。


***




■7/29開催「ガチンコ新作落語SHOW」



一年ぶりに訪れた桜座。
がらんとして高い天井、焼け焦げた風の黒い梁、土間の舞台。
懐かしくさえ思えるぜ。

子供からお年寄り、若い娘さんからチョイ悪オヤジまでバラエティに富んだ客層。
闇に閉ざされた密な空間での何でもアリのカオス感。
ああこのカンジ。たまらない。芝居小屋はこうでなくてはね。

舞台の上に作られた高座には緋毛氈が敷かれ、ざぶとんがばすん!と置かれている。

hakaは落語をナマで聞くのは初めてである。

はじめての落語体験が桜座での新作落語って
かなりあばんぎゃるどなぐっどちょいすだと思うのですが、いかがでしょう?

まずは本日の語り部二人
色白モチハダにピンクの着物がお似合いの三遊亭白鳥さんと
「やけに眼が合うような気がする」眼力をお持ちの林家彦一さんがご登場。
二人の軽妙なトークはまるでコントを見ているようにカジュアル。

そこにいきなり飛び入りゲストとして
土間舞台の上にバイク走らせて(←なかなかシュールな絵であった(^^;)
全国を流離中の「寝起きの東幹久@関西産」こと桂三若さんがご登場!!
三人でさらに熱いトークが展開され会場のボルテージがますます上がり
これから始まるしょうたいむに期待感が増した。


***


「ガチンコ新作落語SHOW」では
白鳥さん・彦一さん・三若さん・白鳥さん・彦一さんの順番で
それぞれの新作落語を披露。

新作落語会といっても一般的には新作と古典の組み合わせが多く
今回のようにすべて新作というスタイルは珍しいらしい。

三遊亭白鳥さん。
鳥の羽根の如く袖を切ったピンクの着物(←前衛だぜ)が
新潟出身・白鳥さんの色白モチハダに実に良く似合う。
(と、カラーコーディネーター目線で観察してしまうhaka)

ネタも新潟色の濃い、朴訥カントリー調。
キタのネタとか・・・それやばいって~(^^;(^^;
(海岸に「危険なので夜はひとりで出歩かないでください」「行方不明者を探しています」等の看板が立っている土地ならではの結構際どいネタチョイス)

都会に憧れる田舎モンの勘違いぶりが楽しい。
特に色白の顔をくしゃくしゃに赤らめてシャウトする
「ばあさんしゃべり」が秀逸!!

ほのぼの愛らしい訛り口調に和まされる。
癒し系落語家さんか?

彼の落語のテイストから
新潟の田舎の大家族のなかでじいさんばあさんに囲まれて育った
色白モチハダリンゴほっぺの純朴な白鳥少年を
勝手に想像してしまったぜ。

そんな癒し系な白鳥さんでありますが
扇子を使ったちょっとした所作や
最後にざぶとんをばさっ!とひっくり返していく仕草が板についていて
なんかカッコよかった。


***


桂三若さん。
一見、イケメン(ただし「寝起きの東幹久」だが(^^;)。
しかししゃべりだすと機関銃のような破壊力!!!
爛々とかがやく大きな眼。漲るパワー、ツバシャワー。
たたみかける関西産こてこてギャグ。テンション高ーっ!!!

ギャグを言った後、落語上での話し相手に「突っ込んでな~!!」と叫ぶのが
haka的に超ツボだった。
そうそう、hakaの周りにも関西人いるけど、「突っ込めよ!」とか「笑えよ!」とか
何らかのリアクションをせがんでくるんだよね。
彼らには「ギャグがつまらないからリアクションを起こせない」非関西人のキモチが理解できないらしい。(つまらなければ「つまんねー!」とそれなりに突っ込むのが関西流の礼儀なのだろうか(^^;)

とにかく関西人は「ノーリアクション」がいちばん不安になるようだ。

そしてその「突っ込んでな~!!」の時に
大きな眼をさらにぎろりと見開いて客席ににらみをきかすので
「自分」に言われているよう気がしてどきっとした。

三若さん演じる関西人は白鳥さん演じる新潟人とは違って
都会(東京)には憧れない。

いや、実は憧れているのだが・・・そんなそぶりは見せてはいけないものらしい(笑)

東京モンに負けてたまるか!コレが関西のやり方や!
流離の関西落語家は生き様もネタも反骨精神旺盛である。

新作落語は「自作」なので
落語の中にその人自身のアイデンティティや生まれ育った土地の文化が自然と滲み出てくるのかな。
面白いなあ。


***


林家彦一さん。
肩から袖にかけてラインが入ったジャージスタイルの着物を召してご登場。
(白鳥さんの鳥羽根着物といい・・・ネタも新作オリジナル、着物も新作オリジナル。あばんぎゃるどなすたいるや~)

「DVDでオーケンと対談している」と聞いたときに
hakaの中で彦一さんのスタンスがかいまみえたような気がした。

「落語界イチの武闘派」は、ネタもデンジャラスでパンチが効いている。

電車の中のヘッドフォンのシャカシャカ音漏れ
「キレる若者」
新宿のタイ人ボクサー・ヤク中・カットフルーツ・高層ビル群。

白鳥さんが憧れて、三若さんが激しく対抗意識を燃やす
東京の都会のダーティさを含んだとある一場面を
徹底的な観察と、醒めた視点での分析を交えて臨場感抜群に演じてみせる彦一さん。

こちらが見ているはずなのに逆に「みられているような気がする」鋭い眼。
ひとりで客席を圧倒させる力のある強い眼。

声が通るし、「間」が凄い。
語りに緩急と抑揚があって巧い。
引き込まれる。
どこにどうやって話が着地し、どのように落ちるのか・・・ドキドキしながら聞いていた。

終盤に見事に伏線が回収されていく様には感動すら覚えた。
(一緒に見たBさんは感動のあまり泣いたらしい)
カタルシスを伴う感動巨編落語。素晴らしかった。

さすがに「武闘派」を語るだけのことはあるぜ、彦一さんよ。
最後の渾身の強力アッパーカットにノックアウトをくらったぜ。

しかし・・・実は●●デパートを知らなかった田舎者のhakaには
最後の「オチ」が予測できなかったのが残念!!(^^;


***


新作ならがも古典のスタイルを守り安心して聞ける、ほのぼの調の白鳥さん。
ボケと突っ込みのコテコテの会話劇・漫才テイスト満載でエネルギッシュな三若さん。
まったくのモダンスタイルで「現在」を切り取る、破天荒で辛口落語な彦一さん。

西に東に田舎に都会。
三人三様、それぞれの個性が甲府・桜座で熱く交わり
観客を笑いの渦に巻き込んでいった「ガチンコ新作落語SHOW」。

新作落語の自由奔放さが
桜座という何でもアリの懐深き空間に妙にマッチした
楽しくもえきさいてぃんぐなひとときでした。





【追 伸】

数日後、会社の上司が部下に対して
「もっと具体的に言ってよ」と注意しているのを聞いたときに
思わず笑ってしまったhaka。

いまだに新作落語SHOWの世界を引きずっております(^^;




※今回、このような機会を与えてくださいましたT様に心より感謝申し上げます。





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